★藤嬉のエジンバラ出張日記★
【3011年8月16日火曜日】
藤村でございます。
私と嬉野先生は、今週末からある芝居、
というか「パフォーマンス」を観るために遠く、イギリスはスコットランドに出張してまいります。
嬉野先生がたぶん「出張つれづれ日記」を現地から送る、とは思いますが、
私もなにかしらこちらに書いていこうと思っております。
今月いっぱい、スコットランドで過ごしてきます。
また、良いものに出会える気がします。
【2011年8月18日(木)】
嬉野ですよ奥さん。
えぇ、うちの藤村さんが、先日日記に書き残されましたとおり、
ぼくらは今週末にイギリスに出張しましてね、
10日ばかり札幌を留守にするわけでありますが。
スコットランドのね、エジンバラというところへね、行くんでありますが。
もうね、なんせ今週末のフライトだから、出発まで、日が無いの。
で、藤村さんは、本日からもう、ひと足先にね、ひとり東京へ出張に出ちゃうんだということでね、
「じゃぁ、成田で」つって言いながら、昨日帰りに別れましたよ。
ちゅうことでね、嬉野さんは、今朝も札幌で、ひとり立て混みながら、
ばたばたとしておりましたら奥さんね、午前中でしたかしら、私の携帯にメールが入りまして…。
なにかいな?と、見ましたらね、藤村さんからですよ。
「おはようございますわたくし、パスポートを忘れまして、午前中にカミさんが会社の受付に持っていきます。受付の子には、嬉野さんのデスクに届けるように、言っておきましたので、それをね、成田に持ってきてくださいね。 藤村」
いきなりパスポートを忘れたそうですよ。
笑っちゃってね。
書きながらさすがに彼もバツが悪いと思ったのでしょうか、
メールの末尾2行に「ね」が二つもありますもんね。
あの方の文章の末尾に可愛く「ね」があるなんてさぁ、見たことないですね。
だもんで面白かったんだけど。
確かに、会社に出てきたらデスクの上にありましたよ。
それらしき封筒が(^^)
「嬉野さま お手数をおかけいたします 藤村パスポート在中」
藤やんの奥様の筆跡ですね。
ご苦労さまでご座居ます奥さま。
そうしましたらですよ、さっきですよ、
私の携帯にまたメールが入りましてね、
見ましたら今度は、カリスマスタイリストの小松さんからです。
「うれしーさぁ 藤やんとエジンバラ行くんだってね こっちは土曜日、藤村家で飲み会なのよ 藤やんの奥様と(^^)」
なるほど…。
ヒゲの居ぬまの…ねぇ。そりゃありますさ。
とうことでね、藤村先生。
あなたのパスポートは、確かに私が受け取っております!案ずるな!
さぁ本日は、くじらさんの納涼イラストの更新日です!
パソコンでご覧のみなさんは眺めましょう!
それとそれと、掲示板には、「文久三年」目覚ましへの賛辞が、ズラズラと届いております。
もう大人気。
ただ、その書き込みはまだ上げてはおりませんね。
なにしろ、ばたばたしちゃってますからね。
それでは諸氏。本日も各自の持ち場で変わらぬ奮闘をなされますように。
解散!
【現地時間8月21日午後7時30分。】
藤村でございます
成田空港から12時間かけてロンドンに到着いたしました
日本時間では日付変わって22日の午前3時30分であります
本日はヒースロー空港近くのホテルに宿を取りまして、
明日朝の便でスコットランドのエジンバラに入ります
12時間のフライトでは、嬉野先生と席が離れておりましたが、
私は隣の席のご婦人(76歳)とワインを飲みながらすっかり人生について話し込みまして、
その後は酔っぱらって5時間ほど寝て、映画を2本観て、わりとあっさりロンドン到着
今回の旅の目的は、
エジンバラフェスティバルという世界的に有名な演劇祭で1ヶ月のロングラン公演をしている
「白A」というパフォーマンスグループを観ることであります
海外でがんばる日本の若者の姿をしかと観てまいります
ロンドンの午後7時。窓の外はまだまだ明るい…でも眠くてしょうがない
寝ますよもう
今日はここまで 現地から藤村でした
おやすみなさい
【2011年8月22日(月)】
嬉野です。
私と藤やんの二人は、 12時間の飛行の末、無事イギリスに到着いたしました。
イギリスは現在サマータイムでありますから
日本との時差は8時間です。
つまり、こちらは、みなさんの生活の8時間前をやっと進行しているということですから、
みなさんが朝ごはんを食べようかという頃には、
ぼくらはやっと前の晩のそろそろ寝ようかなという頃合いなわけです。
なんだかタイムスリップしたみたい。
さぁそれではしばらく、このように遠隔操作で日記を書いていきますのでお楽しみに。
そしてさっそく時差ぼけで眠いです。
では、ここイングランドの地より、
本日も諸氏が、各自の持ち場で奮闘されんことを願い上げます。
解散。
【現地時間8月22日午後5時】
日本時間日付変わって23日午前1時 藤村でござります
午前中にロンドンからスコットランドのエジンバラに入りました
崖の上にそびえるエジンバラ城を中心に広がる街は、
世界遺産に指定されているほどの美しい町並みで、
そのメイン通りでは、世界中から集まった演劇人がパフォーマンスを繰り広げております
通りを歩いただけでもうなんだか頭がくらくらしてきましてね、
さすが世界的な演劇祭の迫力!と思いましたら、
違いますね、
完全な時差ボケですね
眠いんですよもう… というわけで現在、宿でひとねむりしておりました
これからスコットランド料理を食い、
明日いよいよ「白A」のパフォーマンスを見に行きます
今日はこのへんで勘弁してやるぜ、エジンバラ
【現地時間8月23日朝6時】
完全なる時差ボケの藤村でごさいます
昨日、午前中にエジンバラに到着し、
街を一回りし、午後いったん宿に戻って1時間ばかりひとねむりし、
夕方、「白A」のみなさんとお会いして、
一緒にスコットランド料理を食べました ビールがうまくてね、
たくさん飲みました
料理もね、まぁうまいんですけど量が多くてですね、
腹一杯になりました
ワインも飲みましてね
デザートも食べましてね
デザートが半端なく甘いんですよ
だってね、試しにね、テーブルにあった砂糖をそのまんま食べてみたらですよ、
甘く感じなかったですもん
砂糖より甘いんですよ、デザートが
私も嬉野さんも倒れそうでしたよ
ダルシーは誰ですか?
だって日本時間の早朝にですよ、
フルコースを食べて、朝4時に砂糖より甘いデザートを目一杯食べたわけですからね
もうね、苦しくてね、
私は宿に戻って吐きましたね
スコットランドを盛大にね
で、そのまんま倒れ込むようにして寝て、
おーずいぶん寝たなと、思って時計を見たら、スコットランドはまだ午前2時!
ダメだ!寝ないと
そう思ってもう一度ベッドに入って、再び目が覚めたら、スコットランドはまだ朝5時!
ダメですもう眠れまへん あきらめて日記を書いております
今日の午後4時から、「白A」の公演が行われます
世界中のパフォーマーが集まるエジンバラで、
堂々と公演する東北仙台のパフォーマンスグループ「白A」
おれは観るぞ!彼らの勇姿を
寝ないぞ!おれは!
【現地時間8月23日午後11時30分】
日本時間では朝7時30分。
オハばんわ。藤村でございます。
本日午後3時。
ここスコットランドのエジンバラで、
仙台を本拠地とするパフォーマンスグループ「白A」の公演を観ました。
会場はエジンバラ芸術大学の中にある劇場。
キャパシティは約200人。彼らのロングラン公演がここで始まったのは8月3日。
初日のお客さんの数は、なんと15人だったそうです。
ガランガランの客席を見て彼らは失望した…かと思いきや、
お客さんの反応がはっきり見えて、逆に自信を持ったそうであります。
「これはイケる」と。
その日から3週間が経過した現在…客席は見事に満席でした。
地元の英国はもちろん、シンガポールや台湾などアジア圏の人々、
年齢も幅広くバラバラな人々が、彼らの公演の噂を聞きつけて集まっておりました。
彼らは初日からほんの1週間で客席を満席にしたそうであります。
幼なじみや同級生たちで結成し、震災で稽古場を流されて、
ようやく東北仙台からやってきた彼らが、このスコットランドで、
演劇の本場イギリスで、客を10倍以上に増やしていたのであります。
「白A」の公演は、カッコよく、面白く、気持ちのいい、素晴らしいものでありました。
世界を相手に堂々の戦いぶりでしたよ、仙台は。
いやぁー、来て良かったぞぉ!エジンバラ。
8月いっぱい開かれているこのエジンバラ・フェスティバルでは、
街中の様々な場所が劇場となって、どの公演も1千円程度の入場料で観ることができます。
評判の良い公演はお客さんがどんどん増え、内容が良くないものはどんどんお客さんが減っていく。
中身よりキャスティングと宣伝でお客さんを集めて、短期間で公演を終える日本とは違い、
とても当たり前のことが、ここでは行われております。
明日からは、世界中からやってきた様々な公演を観たいと思っております。
【現地時間8月24日午後10時】
日本時間では朝6時となりました。 こんばよーございます。
エジンバラから藤村でございます。
仙台からやってきた「白A」のメンバーは、先月下旬にエジンバラ入りしたので、
こちらの生活もすでに1ヶ月。
彼らは、劇場に近いアパートの一室を借りて共同生活をしています。
そのアパートは基本、4人住まいの部屋でありますが、
そこに7人の男どもがぎゅうぎゅうになって暮らしているわけで、
ある者は床に寝て、ある者は押し入れに寝ているという惨状を呈しているわけでございます。
しかしながら、ドイツの道端に寝るわけではないので、
居住環境にはそれなりに適応している彼らではありますが、
それでもやはり適応しきれないのが食生活。
わかりますわかります。わかりますとも。
もうね、ヨーロッパのパンとチーズと薄っぺらいハムにはもう、うんざりなんだよ!と。
で、我々は今夜、彼らのアパートで、北海道から持参したラーメンをおみまいしてやりました。
旭川の「橙や」と札幌の「白樺山荘」のラーメン。
そして、酒のつまみには、北菓楼の「北海道おかき」。
やっぱりね、ラーメンは最強ですよ。
「ヤバいヤバい」「うめぇうめぇ」と、大興奮しながら食っておりました。
「白A」の1ヶ月に及ぶロングラン公演も、残すところあと5日。
彼らは元気いっぱい乗り切ることでしょう。
我々は今日、韓国人のコメディを観てきました。
手品やジャグリングを器用にこなしながら笑いを取る、実に楽しい公演でありました。
英国人にもバカウケしておりました。
アジア勢、大健闘しています。
なんだかとても嬉しいですよ。
さぁ明日は、何を見てくれようか!
芝居やコメディだけでなく、フラメンコもタンゴもバレエも、なんでもやってますから。
エジンバラ・フェスティバル、すごく贅沢です。
ではまた明日。
【2011年8月26日(金)】
どうしても夜中の1時に目が覚める嬉野です。
毎夜目覚めるとエジンバラは深夜1時。
でも8時間先を行く日本は既に朝の9時。
エジンバラの宿のカーテンをからからと開けますと窓外は真っ暗。
そらそーです。だって夜中の1時なんですもん。
ですが日本では、日も高くみなさんご出勤の刻限なんだと思えば、なにやら妙な感じでね。
素直に寝直せない。
私の中の無意識は、まるでご出勤される日本の皆様方に気兼ねでもするかのように夜中というのに寝てられない。
いやいやこのさいゆっくり朝9時くらいまで朝寝してやっかと思うのですが、
エジンバラで朝9時と言えば日本はすでに午後の4時。
夕方です。
だいたい仕事も終わろうかというところ。
そんな時間まで寝てるというのは、さすがの私も気がひける。
とでも私の無意識が思うのでしょうか?寝ても30分後には目が覚める。
こうして1日じゅう私の頭の中の時計は日本に行ったりエジンバラに帰ったりと洋の東西をまたいで行ったり来たりするもんですから私の頭はごっちゃんごっちゃんで、
とにかく毎晩あんまり寝た気がしない。
だからエジンバラの午後も3時を過ぎる頃には乱暴な睡魔に襲われ始め、
夕方5時にでもなろうもんなら一旦宿に帰って寝ないと倒れそうになる。
確かにエジンバラでは夕方5時とはいえ日本じゃ夜中の1時なんですから、
いいかげん寝ないといけない時刻なんだと日本時間が言うのです。
という時差ぼけの毎日でね、疲れますのよ奥さん。
それでも、そのような朦朧たる脳状態でエジンバラの街を歩き回り劇場巡りの日々であります。
でまぁしかたない多少寝ますさ。劇場で。
スコットランドの赤ちゃんの名前トップ
劇場出てから藤やんとテラスで茶を飲んで話すときに、
「でも、あの綱渡りはどうだろうねぇ」とか振られてね、
(え?綱渡り?綱渡りなんかあった?記憶にないなぁ?寝てたなオレ)と、
こっちゃぁ内心、地味に驚き、
なんとなぁく気取られないように話を合わせるという始末でありますよ。
それではみなさん、そっちはすでにお昼ごはんの時間でしょうが、こっちゃあまだ、夜も明けぬ夜中の4時というわけで。
手前どもは本日も日が昇りましたら、藤村先生のスケジューリングで精力的に劇場巡りをいたします。
諸氏もまた各自の持ち場で奮闘なされてくださりませ。 解散。
【現地時間8月26日の朝9時】
藤村でございます。
そちらはもう夕方5時ですから、
今日も一日お疲れさんといったところですな。
こっちゃあこれからです。
毎年8月に行われているエジンバラ・フェスティバルは、
期間中の観客数100万人、
パフォーマンスをする出演者が4万人、
出し物の数は4千という途方もないイベントであります。
出し物をすべて網羅した冊子があるんですが、そいつがもう300ページ以上あって、
持ち歩くのも重いぐらい。
演劇だけでなく、歌(ロックからクラシックまで)、ダンス、コメディ、ミュージカル、
そして子供向けの人形劇まで、
思い付くエンターテイメントのすべてが街中の特設劇場で行われております。
そのどれもが入場料千円ほど。
そして、すべて1時間前後の出し物なので、エンターテイメントのハシゴができるわけです。
我々はきのう、4つもハシゴしました。
まずは、南米コロンビアからやってきた「サーコロンビ」という出し物。
サーカスとコロンビアの造語ですね。
中身はですね、町のワルがですね、ケンカしながら、
尋常じゃないアクロバットをしたり、綱渡りしたり、縄跳びしたりするというものでね、
すごかったですよ。
嬉野先生は寝てましたけどね。
次に観たのは「コリアン・ドラム」。
文字通り韓国の太鼓です。
男性5人、女性10人以上の編成で、こいつはもうバチさばきが尋常じゃない。
嬉野先生が寝なかったことからも、その素晴らしさがわかっていただけるでしょう。
次に観たのは、イギリスのミュージカル。
とは言ってもシェイクスピアとかそういうんじゃないですよ。
言うなれば「スチュワーデス物語」。
ロンドンからニューヨークを往復する機内でのドタバタみたいなね、
客室乗務員と機長が恋に落ちるみたいなね、そういう楽しいやつです。
言葉はわかんないし、劇場もどっかの会議室みたいなとこに暗幕を張ってやってるし、
舞台セットは飛行機の窓を手書きしたボードがあるだけだし、
「うわっ!ちゃっちいな!」と思いましたが、
ちゃんとバイオリンを弾く人やバンドもいて、
生で演奏しながらミュージカルをやってましたよ。
役者さんもうまかったし。
まぁ、嬉野先生は寝てましたけどね。
狭い劇場で、それも正面でしたからね、役者の目には入ってたと思いますよ。
一度ガタッ!と音を立てて倒れましたしね。
そして夜は、エジンバラ城の前に設けられた特設スタジアムで行われている
「ミリタリー・タトゥー」というイベント。
これはスコットランドをはじめ、
イングランド、ドイツ、フランス、シンガポールなんかの軍楽隊によるショーですね。
スタジアムを軍隊の楽団が音楽を聞かせながら行進するという。
スコットランドの軍楽隊が、タータンチェックのスカートに、バグパイプを吹き鳴らして行進する様はシビれましたね。
花火も盛大に上がってね。
エジンバラ・フェスティバル最大の出し物です。
でも、嬉野先生は寝てましたけどね。
結局、先生が寝なかったのは韓国の太鼓だけですね。
「あれはすごかったねー!」 と、そればかり力説しておりました。
アジア勢強し!
さぁ、今日はまず手始めに、冊子の中から私の直感で選んだ「アラビアンナイト」というミュージカルを見に行ってまいります。 嬉野先生は果たして寝るのか!お楽しみに。
【現地時間8月26日午後2時】
日本はもう夜10時ですね。
こんにばんわ。藤村でございます。
先ほど午前11時から、私が直感で選んだミュージカル「アラビアンナイト」を観てまいりました。
きのうは南米コロンビアのアクロバットと韓国の太鼓を観てえらく感激したので、今日は中東のね、それも若干妖艶なね、お腹は見せて顔は見せずみたいなね、ベリーダンス的なものも良いんじゃないかと思いましてね、嬉野先生と行きましたよ「アラビアンナイト」。
えー、目論見は見事にハズレましてですね、
アレは高校生ですね、
イギリスの。 高校生の演劇でしたね、
アリババとか魔法のランプとか出てくる、ミュージカル風の演劇でした。
会場は教会でしたもん。
教会の中に暗幕張って客席作ってましたもん。
んなとこで妖艶なダンスしないですよ。
それも午前中に。
お客さんは40人ぐらいでしたか。
40人を前に15人ぐらいの高校生たちが歌を歌いながら芝居をする。
でもね、良かったです。高校生の演劇。
うまかった。話も良く出来てました。
8ポンド、日本円で千円ぐらいでしたが、いろんなことに満足しました。
たった40人でも、お金を払ったお客さんの前で、高校生たちが1ヶ月近く芝居をやる。
すごい経験ですよ。
こんな経験できたら、みんなうまくなりますよ。
もちろん嬉野先生はね、寝てましたよ。
観客40人ですからね、目立ちますよ。
アリババがチラッと嬉野先生見てましたもん。
ちょっと悲しそうな目をしましたもん、アリババ。
午後3時からはもう一度「白A」の公演を観に行きます。 寝るなよ!嬉野先生!
【現地時間8月26日午後10時半】
日本時間では27日土曜日の朝6時を過ぎました。
オハヨばんでございます。藤村でござります。
エジンバラに来て5日。
我々はこの間に、我らがJAPAN仙台の「白A」、韓国の押しの強いコメディ、
南米コロンビアのアクロバット、イギリスのミュージカル「スチュワーデス物語」、
韓国の太鼓、フェスティバル最大のイベント「ミリタリータトゥー」、
イギリスの高校生たちのミュージカル「アラビアンナイト」、
そして再び「白A」のパフォーマンスを観ました。
合計8つ。
このうち、嬉野先生が寝なかったのは、
韓国のコメディと太鼓、そして「白A」の3つでありました。
嬉野アイは、世界のパフォーマンスに対して、実に厳しい態度を取っております。
MR 。
「アラビアンナイト」に至っては、アリババを演じていた男子高校生が、
嬉野アイが閉じているのを見て、悲しい顔をしておりました。
さらにアリババは、我々と同じ宿に泊まっていたのを私は見てしまいました。
なんというバツの悪さ!
もうこれ以上、嬉野アイを眠らせるわけにはいきません。
300ページに及ぶパフォーマンスの中から、次に何を観るのか、
セレクションを担当しているわたくしが次に選んだのは、
このフェスティバルでも大人気を博しているという「フリーラン」というパフォーマンスであります。
これは、YouTubeの視聴回数でギネスにも載ったという、
ものスゴいアクロバットの舞台版。
若い男4人が、街中を走り回り、スパイダーマンのように壁を飛び越え、
バク転しながら階段を飛び降りるという、まさに体を張ったパフォーマンス。
エジンバラ大学のキャンパスに設置された特設会場には、客席の周りに彼らが走り回る通路があり、
壁に見立てた跳び箱のような台や、鉄棒のようなものが設置されておりました。
ノリのいいハウスミュージックがガンガンに鳴り響き、客席は大盛り上がり。
YouTubeの映像で見た通りのアクロバットが、生で繰り広げられました。
でも、でも! 嬉野アイは、やはり閉じていました!
なぜ!なぜ!あんなに盛り上がっている中で眠くなるんだ!嬉野アイ!
「だって藤村くん、あれは跳び箱じゃないですか」
「わたし、跳び箱を1時間も見られませんよ」
YouTubeのギネス記録も、嬉野アイには「跳び箱」呼ばわり。
厳し過ぎるぜ!嬉野アイ!
エジンバラで大人気の「フリーラン」も無惨に散りました。
いやでも、確かにね、YouTubeの映像のように、
本当の街中を走り回りながら壁を飛び越えたりしてるのは面白いけど、
それを舞台でやるのはね…。
なんか、野生動物がカゴに入れられたような感じがしましたもの。
さすがだぜ!嬉野アイ!
さぁもうこうなると、わたくしのセレクトはとまりません。
夕飯は屋台のハンバーガーでさっさと済ませて夜8時から、次なる出し物へと向かいます。
タイトルは、 「フラメンコ!フラメンコ!」
もうそのまんま、フラメンコです。
伝統に裏打ちされた、尋常ではないギターテクニックと、
尋常ではない足さばきのフラメンコダンサー!
嬉野アイは見事に釘付けとなりました。
やりました!
日本、韓国に続き、スペインも嬉野アイ合格です。
こうなると、藤村セレクションもさらにヒートアップしてまいります。
夜10時! エジンバラに来ていたワハハ本舗の知り合いの方に聞いた、
ドイツのコメディを観に行くことにしました。
タイトルは、 「ドクターブラウン」。
怪しげです。
しかし、会場に行ってみると、なんとドクターブラウンのチケットはソールドアウト。
無念! 明日の前売りチケットを手に入れて、本日は終了となりました。 我々はあさっての昼に帰国なので、明日が観劇の最終日。
明日も目一杯、見てやるぜ!
待ってろ!ドクターブラウン。
嬉野アイを覚ましてみろ!じゃまた明日。
【現地時間8月27日午後10時40分】
仙台から世界に向けてパフォーマンスを繰り広げてきた「白A」は今日の公演で、ついに座席数が足りず、急きょイスを増やしたほどの超満員の観客を集めたそうです。
それはもう、スゴいことです。
「どうでしょう」は、札幌から日本全国に広まったけれど、仙台の「白A」は一気に世界へと出て行き、そして、ちゃんと結果を出したのです。
スゴいぞ仙台!
でもねぇ、世界はまだまだ広いよ。
我々は、エジンバラ最後の夜に、スゲーものを観ました。
「ドクターブラウン」
わたしはね、生の舞台で、こんなに声を出して笑ったことはありません。
1時間の舞台の最中、ほぼずっと涙が出るほど笑ってました。
こんな経験したことありません!
そして、会場には、私の笑い声を含め、ずっと観客の笑い声だけが響くという、不思議な現象が起きます。 なぜなら、ドクターブラウンは、ほとんどしゃべらないからです。
ほとんどしゃべらないのに、観客が勝手に笑ってしまう。
いやもう、言葉では説明しにくいけど、とにかくドクターブラウンは、舞台上でほとんどしゃべらない上に、ほとんど何もしないんです。
いわゆる「間」だけで笑わせるという、スゴい舞台です。
私はね、絶対に彼を日本に呼びたい。
日本人の笑いのセンスは世界一だと思ってましたが、ドクターブラウンが今、私の中では世界一です。
いやー、エジンバラに来て良かった!
ドクターブラウン。
嬉野アイも見事に笑ってました。
さぁ、我々は明日、日本に帰ります。
そして来年、また必ずエジンバラに来たいと思います。
みなさん、ぜひエジンバラで会いましょう。
【2011年8月29日(月)】
嬉野ですよ奥さん。
エジンバラはねぇ、カモメが多いよ。
海がねぇ近いんだ。
だからだね。一日中、カモメが街の上を飛んでるよ。
エジンバラは、そのカモメたちがやって来る海から、なだらかにせり上がっていく果てにある丘の尾根伝いに作られた街だから、街中に高低差があってね、とにかく坂道と石段ばかりの街だよ。
川もないのに街中に橋がたくさんあるのはね、丘と丘を崖から崖へとつなぐために橋が架けられているからなんだね。 崖の下にある街をまたいで、崖の上の街ともう一方の崖の上の街が橋でつながれている。そんな重層的な作りの街だから、橋のたもとに立って見下ろせば、石畳の道を行き交う人たちが幾筋かの小さな川の流れのようになって見えるよ。
いったいいつ頃作られたままなんだろう、この街並みは。
まるでクリスマスキャロルの物語に出てくるような古い石造りの家並みと石畳の道がどこまでも続く街だよ。
街角にはタータンチェックのスカートを履いて豊かに口髭をたくわえたおじさんがバグパイプを吹いていたりする。
今の時期、エジンバラの街は、訪れた観光客で普段の三倍の人口になっているそうでね。
レストランも宿屋もみやげ物屋も溢れるような観光客を相手に掻き入れ時だ。
そんな、人で溢れたエジンバラの繁華街から少しそれて歩いたところに高台があってね、
長い長い石段を上がるとそこは緑の芝生豊かな静かな公園なのです。
そこからだったら、丘の尾根に出来た旧市街の全容と、そこからだらだらと港まで下りながら広がっていく新市街の全てが一望できる。
絶景だよ。
カモメはあの海から丘の街へ飛んできてあの海へ帰るんだなぁ。
街の外を眺めると緑の丘陵地帯が遠くどこまでも広がっていてね。
そういえば欧州の古い街は城塞都市だったということだから、どの街も荒野のただ中にぽつねんと横たわる感じなのだろうね。
エジンバラは晴れていても不意に雨がパラパラと降りだすし、まったく降っていなかったのに劇場から出ると路面が濡れていたりしてね、明らかにさっきたっぷり降ったろうという感じだったりもする。
1日のうちに天候が目まぐるしく変わるんだね。
雲間から差してくる陽の光にあたれば直射熱はさすがに夏らしく暑くて、でも日陰に入ろうもんなら吹く風はもう冷たくてそこには秋の気配がするんだよ。
乾燥した土地柄なんだね。ふと、すごく喉が渇いている自分に気づくことがある。
なんか、そんな感じの街です。エジンバラね。
その街で精力的に動き回る藤やんのお陰で、時差ぼけが続く私も劇場から劇場へとおもしろく動き回りました。 そして最後まで時差ぼけで劇場であっさり寝てしまったりもしてました。
それでも、まる五日、エジンバラという、自分の生活圏から遠く離れた異国の街で、毎日繰り広げられるおびただしい数のパフォーマンスやコメディーやお芝居をわけもわからず見まくれたのは貴重な体験だったのです。
なんの予備知識もなく見たパフォーマンスがおもしろければもちろん、いや、かりにおもしろさが伝わらなくてもね、 つまりそのことよりも、世界中から集まった、見も知らなかった者たちが、どのようなことを考え、どのようなことを面白いと思っているのか、 そして、その面白さを観客に共感させるためにどのように表現してくるのか、 そのことをそもそも体感したいという欲求が、実は、ぼくらという人間の中には本質としてあるんだとうことに気づけた気が、すごくしたのです。
ただね。自分の中に仕舞われているその本質に気づくためにはね、どうしても五日とか十日とかいうまとまった時間を、観劇のためだけに費やし続けなければならないのだなということもまた、実感したのでしたよ。 これがね、現実問題なかなか出来ないのが実際でね。
でもね。長い人生のたった十日なのよね。
それだけの時間さえ国や会社が体験してこいよと送り出してくれるのであれば、ぼくらは、だれもが、その本質のあることに気づくことができる。
そのことに気づく方が好いなと思ったの。
それはほら、東京という大都会にね、実は川が多いということに気づくみたいなね、ことでね。 どの川もどの水路も高速道路にフタされたような格好になってるから、ぼくらの印象から薄いんだけど、ほんとは東京という都市の中を幾筋もの水路が今も横たわっているのよね。
ぼくらは古代から川のほとりで生きてきた。
川とぼくらの関係は本来深いはずなのに、水道が整備されたりするうちに、いつのまにかぼくらの生活から切り離されてしまった。
なんかそれに近いことのように思ったのですね。
なんか、そんな、心の水路を取り戻す作業をそろそろひとりひとりが、し始めなければならないようなね。そんな気がしたのです。
エジンバラで過ごした時間の中で、ぼくは文化という心の水路が持つ強さというものを見た気がしたんです。
文化という水路をね、見失ってしまった国と民は、いつか、それを理由に外敵に滅ぼされるのかも知れないって思ったの。 それは強い実感として、今ぼくの中にあります。
それほど、その国の歴史の中で生み出され民族の中で育まれてきた文化というものは、音楽であろうと、笑いであろうと、それがすばらしいものであれば、それを見せつけられた者に侵しがたい畏敬の念を与え植えつけてしまうもののような気がするのです。
文化はそれほどの強さを持っている。
国防や経済発展と同じか、もしくはね、それ以上の重要度で、ぼくらは日本という国を守るためにも、 自分達の文化という奴のすごさを見直してね、そいつのことを守ってやり、育てていこうとしなければならないのと違うだろうか。
そんなことをね、このエジンバラでの5日間で、思ってしまいました。
仙台からきたSIRO-Aというパフォーマンスチームがね、舞台の上で繰り出すのは、LEDの電飾を使ったダンスや、プロジェクターから舞台に向けて投影された映像を巧みに使って、虚像であるアニメーションと舞台に立つパフォーマーがあたかもリアルタイムで格闘してでもいるかのように見せる、たとえば飛んできたアニメーションのボールをパフォーマーが舞台の上で弾き返したりする、タイミングや角度や位置を正確に合わせているから、観客には虚像と格闘しているようにだんだん見えてくる。観客の脳が気持ち良く騙されていくわけね。 そんな彼らの表現の中には、なんら日本的伝統の痕跡も見えないけれどね、 でも、そんな電子的なパフォーマンスをしているチームがSIRO-Aしかいなくて、そしてそういうことをしている彼らが実に日本人であるという事実に、 なんか、うまく言えないんだけど、なんか、あ!って思ったというのかね。
そういう、世界のしがらみから一番遠いことができてしまうのが、案外、日本人の立ち位置なんじゃないか、そんな気がしてね。
その立ち位置のせいで、日本人は、どうしても世界から分かりやすく共感してもらえないのかもしれないけれど、 でも、世界のしがらみから遠いという立ち位置を持つ民族がいるということは、そのままですでに、世界の役にたっているんじゃないんだろうか?
ぼくら日本人は、間違いなく世界のしがらみから一番遠い立ち位置に立てるというその理由で、すでに世界のためになっているはずだという、 これはもう、ひらめいてしまった、私のあてずっぽうな予感にすぎないのですが、なんか、今、そう思えてならないのです。
そのことは帰国しましてからまたあらためて考察いたしましょう。 なにぶん携帯で書いてますからね、限界がありますのよ奥さん。
ね。
さて、この日記をみなさんがお読みになる頃には、ぼくらは日本へ向かう飛行機の中です。
週明け頃には帰国するでありましょうから。それまでみなさんお元気で。
では、しばしの間さらば。
ロンドン・ヒースロー空港にて。
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